スーパーGT
2007.01.31
2007.01.31
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2007年クスコレーシング、発進!
新体制とアップデートされたマシンで、表彰台をロックオン 07年シーズンの開幕まで6週間余りとなった2月2日、晴れ上がった富士スピードウェイでは、クスコレーシングの07年体制発表会が行われた。ちなみに、これに先立って1月31日には、やはり富士スピードウェイにおいてプライベートテストも行われた。 昨シーズンの中盤戦でデビュー。その高いポテンシャルの一端を見せつけたシンメトリカルAWDのインプレッサが、引き続いて今シーズンもチームのウェポンとなるが、各所に手が加えられ07年仕様にアップデートされている。クスコDUNLOPスバルインプレッサのネーミングからも分かるように、今シーズンはダンロップ・タイヤを装着して戦うことになったことが、ハード面での大きな変更点となった。タイヤのポテンシャルがマシンのパフォーマンスを左右するのは明らかで、スーパーGTでは、フロントエンジンであれミッドシップであれ、後輪駆動が圧倒的多数、AWDはクスコレーシングのインプレッサのみだ。後輪駆動のマシンに対して、駆動力の掛かるフロントタイヤの重要性は言うまでもない。だから専用設計のタイヤが欲しいところだが、ダンロップとはともに、専用タイヤを開発することでコンセンサスを取ることができ、コンバートするにいたった。 マシン自体にも、1.空力、2.エンジン、3.サスペンション、4.駆動系、と多岐に渡って手が加えられている。先ず1.空力だが、低ドラッグ化と効果的なダウンフォースを得るためにリアフェンダーの形状を変更。ホイールハウス内のエアフローを整理するために、サスペンションアームなどもフルカバードされている。またフロントホイールハウスの中にも気流のガイドチャンネルが設けられ、さらに、フロント下面形状も最適化されている。2.エンジンに関しては、これまで通りスバルテクニカインターナショナル(STI)とのコラボレーションを継続、WRC用のエンジンをベースとしながらも、中低速(中低回転域)でのトルクを向上させたスーパーGT専用タイプとし、ドライバビリティを大きく高めている。3.サスペンションに関しては、プッシュロッド式インボードタイプのダブルウィッシュボーンという基本形式は踏襲しながらも、ジオメトリーの最適化を行いブレーキングにおけるリアのリフトを改称することを目指した。4.駆動系に関しては、AWDの“キモ”となっている3つのデフ…フロントとセンター、リアに装着した機械式デフ…の組合せの最適化を目指している。こうしたマシンの変更と、先に触れたダンロップとの専用タイヤ開発をリンクさせ、開発スピードを上げることで、近年、一層の激戦区となってきたGT300クラスでの上位進出、さらに表彰台を目指すことになった。 ドライバーも一新され、現時点で契約を終えているのは山野哲也選手のみで、彼とコンビを組むドライバーには、彼と同等のパフォーマンスを期待できるドライバーや、今後の伸びが期待できる若手などが候補に登っており、最終調整の段階となっている。チーム体制にも若干変更があり、荻久保寛チーフエンジニアがテクニカルディレクターに就任し、後任には山中芳樹チーフエンジニアを招聘。坂井智昭チーフメカニックがメカニックスタッフを統括することになっている。こうした体制強化により、出場する各レースでは常に『表彰台フィニッシュ』を目指し、シリーズの目標はランキングの上位入賞。発表会直前のテストでは好タイムをマークし、期待が高まっている。 ●スタッフボイス:大溝敏夫監督 「今シーズンは新しいチャレンジの年にしたいですね。97年の菅生でデビューして以来10年目となった昨シーズンは、インプレッサのAWD化という技術的なチャレンジをしたのですが、今シーズンは、次のステージに上がろう、もっと上位で戦おう、ということで、チームを大幅に改革しました。ダンロップタイヤに変更したことも、ドライバーやチームスタッフを変更したことも、すべて新しいチャレンジだと思っています。山野選手に対しては、03年の鈴鹿1000kmで(インプレッサに)乗ってもらっているんですが、常に攻めの限界を試し、研究熱心で貪欲なドライバーという印象を持っています。1回目のテストから、マシンに対して的確で厳しい指摘をするなど、印象通りでしたね。それに対してスタッフも、2回目のテストまでには(山野選手に)指摘された箇所を改良して対処するなど、チーム内には、良い意味での緊張感が漂うようになりました。今シーズンに期待して下さい。」 ●ドライバーズボイス:山野哲也選手 「チームと契約することになったのは大溝監督の一言。『フェラーリがシューマッハーを迎え入れたことで生まれ変わったように、クスコも山野選手を迎えて強くなりたい』。ジ~ンと来ましたね。以前(03年に)鈴鹿1000kmでドライブした時のチームの印象はとはずいぶん雰囲気が変わっていた。今回、最初のテストで(マシンのウィークポイントとして)指摘した箇所が、今回(発表会直前)のテストでは、ほとんどすべてが対処されて問題なくなっていた。正直、びっくりしました。AWDだけに、マシンを開発/熟成していくのは楽じゃないと思います。でも、だからこそ、速くできるんじゃないか、と思っています。マシンを一から開発するのは、自分にとっても新しいチャレンジで、乗やりがいを感じています。シーズン開幕が本当に楽しみです。」 |
テストに備えてマシンチェックが行われる。 いよいよテスト開始。 数周走って、マシンの動きなどチェック、情報を伝えていく。 さらに時間ぎりぎりまで走り込みを続ける。 ピットイン、ピットアウトを繰り返しながらセットアップが続く。 テスト終了後、スタッフ全員のミーティング、改善すべき問題点など話し合い情報を共有して、さらにマシンの戦闘力を高めていく。 AWDシステムのタイヤ開発にあたるダンロップのスタッフも走行後のタイヤを入念にチェック。 |
2月2日に行われた今シーズンの2007年体制発表会 |
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クスコレーシングは07年度、「改革と進歩」をテーマに戦って行きます。1997年度にGTに参加しから今年度は11年目を迎えました。今年は、新たな1年と位置づけすべて一から始める感覚で、チーム体制の改革を行っています。今年は、表彰台争いをし、来年度はチャンピオン争いをする強いクスコレーシングに、皆の応援を受けながら進歩させます。 | ||
TV取材を受ける山野選手。 |
来ていただいたメディアの方々に今シーズンのチーム体制を説明する大溝監督。 |
|テスト走行| |