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クスコ・全日本ラリー

2012.11.05

2012全日本ラリー第9戦『新城ラリー2012』レポート

JRC今季最終戦の新城で、柳澤がポディウムフィニッシュ

JN3クラスの三好は堂々のシリーズ2位を獲得

2012年全日本ラリー選手権最終戦となる第9戦「新城ラリー2012」(ターマック)は11月2-4日、愛知県新城市にある桜淵公園を拠点に開催された。

今季からマシンをスバルインプレッサWRX STI(GRB)にスイッチしたクスコレーシングのエースドライバー、柳澤宏至（やなぎさわひろし）/ 中原祥雅（なかはらよしまさ）組は、課題となっている舗装路面でのスキルアップを目指す。今季の第3戦から投入したトヨタ86を駆る三好秀昌（みよしひであき）/保井隆宏（やすいたかひろ）組は、JN-3クラスでのタイトル争いに絡んでおり、デビューシーズンをチャンピオン獲得で締めくくりたいところ。また今季はプロトンサトリアネオでクスコレーシングから参戦している明治慎太郎（めいじしんたろう）は今回、若手育成プログラムの一環として三菱ランサーエボリューションXに乗り換えての参戦。コ・ドライバーは、APRCチャイナ・ラリーでアジアカップタイトルを決めたばかりの加勢直毅（かせなおき）との初コンビとなった。

ここ数年、全日本ラリー選手権の最終戦を開催している新城ラリーは、シリーズ屈指の舗装イベントとして、その存在感が定着してきている。政府の行政改革特区制度によるモータースポーツ特区として、ラリーを地域振興に活用している新城市が自治体を挙げて支援しており、毎年2万人以上の観客を集めるなどイベントとしての評価も高い一戦だ。今季のタイトル争いはJN-1以外の全クラスがこの最終戦まで決着がもつれ込んでおり、激戦は必至。強豪陣が全開でアタックしてくることが予想された。ラリーのステージは4本の林道を組み合わせて構成されており、ツイスティから高速までリズムが多変する難しい設定だ。11月3日のデイ1は、桜淵公園に設定されるサービスパークにも近い4.23kmや、イベント最長の19.66kmなど5SSを走行。デイ2は7.51km、3.81km、2.48kmを2回ずつループする6SSの構成で、計11SSの総ステージ走行距離は73kmとなった。

秋晴れに恵まれたラリーの週末は、ドライコンディション。柳澤は開幕ステージ、12.83kmのロングステージで3番手タイムと上々の滑り出しを見せる。しかし、経験値の少ない舗装路面でリズムに乗りきれず、初日は4位で終了。しかし、デイ2に入ってフィーリングをつかみ始めた柳澤は、SS8,SS9で連続してセカンドベストをマークし、タイトル争いを繰り広げる3位の奴田原文雄まで0.9秒差に詰め寄る。その奴田原が翌SS10でターボトラブルによりリタイアを喫する一方で、残る2本ではベストタイムを叩き出した柳澤は、デイ2単独ではトップリザルト。総合でも3位でのフィニッシュを飾り、シリーズでも3位に入って今季を締めくくった。

一方、パワー4WDマシンでの参戦に挑んだ明治は、ポイント圏内のタイムをマークするなどまずまずの滑り出しを見せていたが、SS4で縁石に弾かれた際にオイルクーラーを破損。本領を発揮する前にリタイアを喫した。悔しい締めくくりとはなったが、成長過程の通過点としての苦い経験を活かし、来季以降の活躍に期待したい。

JN-3クラスは、上位3人が0.5ポイント差と超激戦状態。三好は、デイ1の5SSすべてをトップ3タイム、うち1本はクラスベストのタイムを刻む。タイトル争いのライバルには地元の強豪も顔を揃えるなど展開は熾烈だが、この究極の状況でも安定したパフォーマンスを発揮し、3位でラリーをフィニッシュ。今季の6月に全日本デビューを果たしたクスコレーシングの86は、ラリー北海道で86としては初の全日本ラリー・クラス優勝を果たし、シリーズ争いでもチャンピオンに僅差のクラス2位と、当初の予想を遙かに上回る大健闘の結果を収めた。FIAアフリカチャンピオンの実績を持つベテランドライバーの三好と共に、実戦やテストでデータを蓄積しながらのパーツ開発も順調に進み、近日中に86用競技パーツの市販品ラインナップも大幅に増える。来季以降のJN-3クラスへの注力もますます積極的に行っていく予定だ。