クスコ・ワールドラリーチーム
2014.10.01
APRCラリー北海道で新型WRX STIの柳澤がAPRC 2位と大活躍!
炭山はAPRC 3位&アジアカップトップフィニッシュ!
FIAアジア-パシフィック・ラリー選手権(APRC)第5戦ラリー北海道が9月26-28日、北海道帯広市を拠点に開催された。
国内唯一の国際格式ラリーであるラリー北海道の開催は今年で13回を数える。今季もAPRC副次タイトルのアジアカップ、ジュニアカップ、さらには併催の全日本選手権のタイトル争いで大一番となる局面をこのラリーで迎えた。クスコレーシングは例年通りAPRC部門でサポートするカスタマーの他、全日本のサポートを含めての大所帯で、北愛国交流広場に設置されたサービスパークでもひときわ注目を集める存在となった。
注目を集めたのは台数ばかりではない。このラリー北海道APRC部門にCUSCO Racingから参戦する炭山 裕矢(すみやま ゆうや) / 加勢 直毅(かせ なおき)組スバル WRX STI は、今季全日本ラリー選手権でも活躍を見せているが、今戦はFIAアジアカップタイトルの奪還を目指して挑む一戦だ。
炭山裕矢 選手(写真左)、加勢直毅 選手(写真右)
そして今回は先輩格でもあり、このラリー北海道では全日本総合優勝もしている柳澤 宏至(やなぎさわ ひろし) / 中原 祥雅(なかはら よしまさ)組をチームメイトに迎えた。柳澤が駆るのは8月下旬に発売開始したばかりの新型スバルWRX STI。FIAのホモロゲーション公認をまだ受けていないため、APRCの規定を適用して日本のASNであるJAFの競技車登録車両としてのエントリーを果たしたのだ。このラリー北海道にスタートさせることを目指し、チームは事前に北米仕様のWRX STIを逆輸入してデータ収集を行うなど、積極的なマシン製作を行ってきた。新型WRX STIがFIA格式のイベントに参戦するのはこれが初めてということもあり、イベント前記者会見にも招聘されるなどメディアからも注目が集まった。
スバル 新型WRX STI CUSCO Racingラリーカー
柳澤宏至 選手(写真左)、中原祥雅 選手(写真右)
さらに今季プロトンサトリアネオでAPRCにフル参戦しているマイケル・ヤング/マルコム・リード組と、インドのサンジェイ・タクル/ショーン・グレゴリー組(スバルWRX STI)のカスタマーサポート、そして全日本選手権に参戦する竹内 源樹(たけうち げんき)/保井 隆宏(やすい たかひろ)組スバル インプレッサのサポートも行った。
ラリーは9月26日、帯広市にある北愛国交流広場に特設されたサービスパークでセレモニアルスタートを行った後、隣接のスーパーSS(0.94km)を走行。翌27日は、帯広から北東に位置する陸別町のオフロードサーキットを中心に、大半が昨年も使用したステージだが、SS5/9のクンネイワ28.75kmは3年ぶりに使用される超高速ステージ。ジャンプスポットも多く、今回の山場になると予想された。この日はこのクンネイワを含む4SSを2回ループした後、北愛国隣接のスーパーSSを再び走行。最終日の28日はイベント最長のアショロロング29.11kmを含む3本のステージを2回ずつ(全日本は1回のみ)走行した後、スーパーSSを1回走行してセレモニアルフィニッシュを迎える構成となった。昨年同様レッキ日は雨に見舞われたが、ラリー本番中は冷たい秋の風を感じながらも日差しに恵まれた。28日の午前のループは霧や雨も見られたが路面はハーフウェット程度だった。
今季のAPRCはMRFタイヤチームが2台のワークススペックのシュコダ・ファビアS2000で参戦し、チーム内で激しいトップ争いを展開している。マシンの改造範囲が大きく異なるためハード面での戦闘力の不利は否めない炭山だが、自身の最大限のペースでこの戦いに挑んでいく。最初の山場のSS5ではスタートから10km付近で左リアタイヤのパンクに見舞われ、バーストしたままの状態で15km以上を走行し約1分のタイムロス。しかしその後は本来のペースを取り戻し順位を上げていく。すると、SS7では、炭山とアジアカップを争いガウラブ・ギル選手がクラッシュアウトする大波乱。これで炭山はアジアカップ首位に浮上すると、この日最後のスーパーSSではベストタイムもマークしてAPRC3位、アジアカップ首位でレグ1を折り返した。
炭山 / 加勢 組 CUSCO ADVAN WRX STI
一方、今季はこれが初めてのラリー参戦となる柳澤。新型WRX STIはイベント前のテストで100km程度しか走行しておらずシェイクダウンを兼ねての参戦という状態だが、「ボディ剛性が非常に高く、前期モデルよりも安定感が高まった感触」という印象通りAPRCではS2000マシンに次ぐタイムを連発。LEG1をAPRC2位で終えマシンのポテンシャルの高さと、柳澤が得意とするハイスピードグラベルでその実力をアピールした。
柳澤 / 中原 組 CUSCO ADVAN WRX STI(新型)
翌レグ2はAPRCトップ3間それぞれのタイム差が開いていることから、各クルーがポジションキープの態勢。確実に走り切って選手権ポイントを重ねなくてはならないプレッシャーと向き合いながらも炭山は2度のセカンドベストを刻み、スピードも見せながらも順位を守り切ってAPRC3位でフィニッシュ。アジアカップでは1位でポイントランキング首位に立ち、3度目のタイトル獲得に一歩近づいた。また、炭山のタイムをベンチマークにしながら新型マシンの走行を重ねて貴重なデータを収集した柳澤は、この日もトップ3のタイムを安定してマークしAPRC2位でフィニッシュ。新型車のラリーデビューとなる参戦ながらも、終始ノートラブルでこのタフなラリーを走破し、炭山とともにCUSCO Racingの2-3位フィニッシュを飾った。
柳澤 / 中原 組 CUSCO ADVAN WRX STI(新型)
柳澤宏至 選手と長瀬努チーム監督(写真右)
APRC表彰式
また、タクル選手とヤング選手、ふたりのカスタマードライバーもトラブルなく順調にラリーを走り切り、それぞれAPRC5位、6位でフィニッシュ。タクル選手はプロダクションカップではトップフィニッシュ。ヤング選手はジュニアカップと2WDカップで首位となり、2WDカップでは2年連続となるタイトルを決めた。
サンジェイ・タクル / ショーン・グレゴリー組 スバルWRX STI
マイケル・ヤング / マルコム・リード組 プロトン サトリアネオ
全日本部門に参戦した竹内は、自身2度目となるラリー北海道参戦だったが、今回コンビを組んだコ・ドライバーの保井は様々なレベルのドライバーと組んだ経験を竹内にアドバイス。攻略の難しいラリー北海道でメリハリのついたドライビングを心がけながら走行を続けた結果、周囲の脱落も手伝って総合3位とポディウムフィニッシュを果たす大金星を挙げた。
全日本表彰式
新型マシンを1ヵ月弱で完成させるなど、このラリーのスタートまで過密なスケジュールをこなしてきたCUSCO Racing だが、シリーズ最大の山場となる母国戦で申し分のない結果を収めた。
APRCの次戦は11月7-9日のチャイナラリー。炭山/加勢組が、アジアカップタイトル奪還を目指す。また10月17-19日岐阜県高山市で開催される全日本ラリー選手権次戦ラリーハイランドマスターズでは竹内/加勢組がJN4クラスタイトル獲得を目指す。
柳澤 宏至選手コメント
「北海道に入っての2日間のテストしかしていない状態でのスタートだったので、正直、ここまで走れるとは思わなかったという感じです。細かいテクニカルなセクションはまだセッティングを煮詰める余地があるのでGRBの方がタイムにつながっていますが、ボディ剛性が上がっているので、ハイスピードではいいパフォーマンスが出せていましたね。とにかく無事に走り切れたことでホッとしています。とはいえ、あまり遅い走りも見せられないので、炭山選手のタイムをベンチマークにしていましたが、チームにドライバーが二人いれば意識し合うのは当然のこと。チームとしてもいいデータが取れたので収穫の大きいイベントになりました。」
炭山 裕矢選手コメント
「今回はスポット参戦の柳澤選手と走行順が前後していて、路面もほぼ一緒と同じ条件の中、お互いにタイムを意識し合いながらいい刺激の中で走ることができました。序盤のパンク以外はノートラブルでスムーズにラリーを展開できたと思います。S2000勢は無理して戦える相手ではないので、むこうに何かトラブルがあった時にトップに立てるポジションにいるという通常通りのアプローチでしたが、これでアジアカップ首位に立ったので中国では確実に走り切ることを目指していきます。」
竹内 源樹選手コメント
「今回はクスコレーシングの現地サポートという形で、マシンは自身のプライベータースペックだったので長丁場をいたわりながら走ることに徹しました。正直フラストレーションもたまりましたが、うまくコントロールして走り切ることができたと思います。SS1でジャンクションをオーバーシュートしてから、コンスタントに走り切ることに気持ちを切り替えました。ペースをセーブしながら、ワークスマシンに戻った時にやらなくてはならないことも考えることができました。ラリー北海道はラリーが観たくてオフィシャルとして参加し、参戦を始めるきっかけとなったイベントなので、ここでポディウムに上がることができたのは感慨深いですね。次回のハイランドではJN4のタイトルを決められるよう頑張ります!」
関連リンク・サイト
クスコレーシング テスト走行動画
http://youtu.be/gC8ZHwrvTuE
アジア・パシフィックラリー選手権 記者会見動画
http://youtu.be/tuDPsTKECmU
アジア・パシフィックラリー選手権オフィシャルサイト
http://fiaaprc.com/
JRCA全日本・ラリー北海道ダイジェスト動画
http://youtu.be/ILbq4ZkGUaw
ラリー北海道オフィシャルサイト
http://www.rally-hokkaido.com/jp/
CUSCOにとってモータスポーツは開発、実験の現場です。
ワークスチームである CUSCO Racing から参戦するマシンはすべて自社製作のマシン。
そこに使われるパーツの設計から製造まですべて自分達で行い、モータースポーツの現場でテストする。
常に「もっと速く」「もっと使いやすく」「もっと丈夫に」と開発された製品は今、
世界中のクルマ好きの人々から本物として認められています。
CUSCO は大好きなモータースポーツを通じた製品の研究開発を37年前の創業時からずっと続けています。
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