スーパーGTレースレポート
2007.04.07
2007.04.07


●緩やかだが、一歩ずつ着実に進化する07クスコマシン トラブルを克服し、決勝では何がなんでも完走を目指す! SUPER GTシリーズの第2戦は、晴れの国として知られる岡山国際サーキットが舞台。1周3.703kmのコースは、シリーズの舞台となるサーキットの中では最短だが、短いストレートをコーナーで繋いだテクニカルコースで、シンメトリカルAWDを武器とするクスコDUNLOPスバルインプレッサにとっては得意なコース。ただし、昨年のシーズン中盤にデビューしたこともあって、今回が初挑戦。金曜日の合同テスト(公式練習)が走り始めとなり、午前に1時間20分、午後に2時間、のタイトなスケジュールの中、本番用のタイヤチョイスとロングラップの確認、予選・決勝それぞれに向けたマシンのセットアップまで、数多いメニューを効率的に消化していく必要があった。 最初のセッション、金曜の1回目は午前10時05分から。ここではマシンの基本セットを確認しながらタイヤテスト。さらに、燃料系の再チェックも実施した。これはフルタンクで走行を開始し、周回を重ねて行った時、燃料が充分残っているにも関わらずガス欠症状が出るというもの。今回までに対策を施しているが、実戦で機能するかのチェックだ。結論から言えば、症状は解決していた。ただし、燃料タンクないのガソリンを、ほぼ完璧に使い果たせるようになったことで、午前のセッション最終ラップにガス欠になってしまった。これまでなら、愚図るマシンをなだめながら何とかピットまで戻って来れたのだが、完全に使い切れるだけに、ガス欠症状が出た時にはいきなりストップしてしまうシビアさを覗かせた。 この午前のセッションではミッション系の不具合も確認された。トラブルと言うほどではないのだが、フィーリングが馴染めず、チームでは大事を取って、インターバルの間にミッションをバラしてチェック。完璧を期して午後のセッションに臨むことになった。ところが、その午後のセッションではタービンにトラブルが発生。結局、2時間のセッションで僅か2周したのみ。多くのテストメニューを積み残したまま金曜日のスケジュールを終了。ぶっつけ本番で、土曜日の公式予選に臨むことになった。 ![]() 土曜日は引き続き曇り/ドライコンディションとなった。1回目の公式予選セッションは午前10時25分から。まず最初の20分間はGT300クラスの専有走行。ここで山野哲也選手が2セットのタイヤを使ってタイムアタックした。1セット目のタイヤでは1分36秒台から32秒台に入り、5周目にはあっさりと32秒の壁を破って1分31秒902をマークする。そして20分間の専有走行も後半に入ったところで2セット目のフレッシュタイヤに履き替えた山野選手はもう1回、タイムアタックに出ていった。だが、タイヤも温まり、いざアタックとなったところで遅いマシンに引っ掛かる不運もあり、タイムアップならず。 結局、1セット目でマークした31秒902で予選16番手につけることになった。(スーパーラップ進出に0.6秒差)セッション最後の20分間、GT500クラスとの混走時間には、青木孝行選手が走行。予選通過基準タイムをクリアーするだけでなく、前日出来なかった本番セットを確認しながらの走行となったが、青木選手はあっさりと通過基準タイムをクリアした。午後2時30分から行われた2回目のセッションでは青木選手一人が走行。15分間の短いセッションだったが、午前の続きで本番セットを確認。明日の決勝レースに向け、充分な手応えを掴むことが出来たようだ。 16番手グリッドからスタートする決勝レース。無用なリスクを避け、先ずは完走。そして充分なデータを採り、次回以降に繋げる。結果的に10位以内で完走し、1ポイントでも多く稼ぐことが、次戦以降にも繋がっていくいい流れを掴むことができる。 ![]() ●スタッフボイス:大溝敏夫監督
「04年にマークしていたタイム(1分31秒976)を僅かに更新。小さな一歩ですが、何とか進歩の跡を見せることが出来ました。金曜午後は(タービンの)トラブルで走ることができず、予定していたメニューも大幅に残ってしまったんですが、それでも午前の1回目では、好い感じでタイムアップしていきました。2セット目でアタックに入った周に、詰まってしまってタイムアップできなかったのは、少し残念でしたが、何とか好い流れは取り戻せたんじゃないか、と思っています。決勝は、絶対に完走。それが最大の目標です。」●ドライバーズボイス:山野哲也選手
「今日の予選は、タイム的には満足しています。各セクターでベスト、ベストと繋げてのタイムで、このクルマの(現状での)総てを引き出せたんじゃないかな。スーパーラップ(に進出した10番手)とのタイム差も0.6秒で、少し見えてきた感じですね。前回のトラブルに対処してリアを補強したことで、コーナリング性能は着実に高まっています。3つのデフをメカニカルにしてイニシャルトルクの設定も少し変えてみたのですが、それが良い方向に働いています。具体的にはコーナーの後半部分、立ち上がりで向きが変わりやすくなった。その一方で、気になる部分も残っているのですが、決勝までに、もう一度チェックしてもらいます。決勝は、無理しても簡単に上位に行けるポジションじゃないので、リスクは回避しながら完走を目指す。そんな作戦になるでしょうね。今の状況だと、毎戦毎戦が耐久テスト。その1戦1戦に目的を持って臨むことが必要。(上位を争うようになるまで)もう少し時間は掛かりそうですが、チームのモチベーションも高いので、着実に進歩していけると思います。」●ドライバーズボイス:青木孝行選手
「昨日はトラブルが出てしまい、決勝セットを詰めることが出来ませんでした。それで今日は予選中に少しずつ決勝セットを出しながらの走行でした。(予選での)一発の速さはまだまだですが、決勝のようにロングラップでのアベレージは高いレベルにあると思います。それはAWDの恩恵でしょうね。明日は着実に走行し、必ず完走したいと思っています。」![]()
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![]() 岡山のピットは狭い、入念にピットシュミレーションが繰り返される。 ![]() 両サイドの同時ピットインも考えて2通りのピットシュミレーション(上写真は通常ピットイン) ![]() 停車位置を決め、ガイド用にテープを貼る ![]() エンジンの暖気にはマフラーが使用される。 ![]() 青木選手のHANSはヘルメットとコーディネーションされていた。
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|Rd.2/予選 Round 2 OKAYAMA GT 300km Race| |