スーパーGTレースレポート
2007.07.29
2007.07.29
●ウェット路面で猛チャージ、 トップに立って快走! 思わぬトラブルでリタイアも、 ポテンシャルは見せつけた。 シリーズ第5戦の決勝が行われた7月29日の日曜日、スポーツランド菅生は早朝から曇天で時折霧雨も混じる空模様。それでも朝一番のフリー走行はドライコンディションで行われ、クスコDUNLOPスバルインプレッサは1分24秒654をマークする。予選タイムのコンマ3秒落ちで、このセッション9番手。菅生でのレースは荒れた展開となることが多く、ノーミス&ノートラブルで走り切れば上位入賞も不可能ではない・・・というのが一般的な展開予想だが、この朝のフリー走行で好タイムをマークしたことにより、期待は一層現実味を増してきた。走行中、トラブルもあったが、セッション終了後に素早く対処して決勝に臨むことになった。 一層の賑わいを見せたピットウォークを終え、セミファイナルのサポートレースにチェッカーが振られると、いよいよスーパーGTのスタート進行となる。だが、ここに来て雨粒が落ち始め、見る見るウェットコンディションに変わっていく。そして結局、レースはレインコンディションのまま、セーフティカーの先導によってスタートが切られることになった。こうなると、シンメトリカルAWDのアドバンテージが大きな武器になる。 クスコDUNLOPスバルインプレッサは、ミディアムコンパウンドで浅ミゾのレインタイヤを装着してスタート。これがコンディションにベストフィットした。前半のスティントを担当した山野選手は、6周目にセーフティカーがピットロードに逃げて実質的なスタートが切られるとともに猛チャージを始めた。 1台、また1台と、見る見るうちに前車をパスしていった山野選手は、5周で10台以上を抜き、11周目にはクラス4番手まで進出する。さらに、14周目には3位にポジションをアップし、2位のマシンがオレンジボールを提示されてピットインしたこともあって、20周目には2位にまで進出する。この時点でトップとの差は大きく拡がっていたが、山野選手はなおも追撃の手を緩めず、着実に、その間隔を詰めていく。そしてトップを逃げるマシンのテールに食らいつくと、39周目の1コーナーでは、スリップストリームから一気にインを突いてこれをパス。その瞬間、大歓声があがる。見事トップに立つことに成功した。その後、37周目には自己ベストとなる1分33秒097をマークするなど、トップを快走した山野選手は、40周を終えたところでルーティンのピットイン。後半のスティントを担当する青木選手に交替した。 燃料を補給し、タイヤをスリックに交換した後、青木選手はピットを後にした。4位で戦列に復帰した青木選手だったが、他のマシンもルーティンのピットに向かい、クスコDUNLOPスバルインプレッサは数周の内に、再びトップに立った。コースは、ライン上がほぼドライに変わりつつあったが、ラインを一本外すとまだまだ濡れている。そんなコースコンディションだっただけに、シンメトリカルAWDの威力を発揮して、このままトップを快走・・と思われた矢先、青木選手は緊急ピットイン。タイヤを交換してピットアウトしていくがすぐに再度のピットイン。実はリアハブのトルクピンが折れるトラブルが発生していたのだ。これでは走り続けることは適わない。トップ快走に沸いていたピットは急転、重苦しい雰囲気となるが、チームはリタイアを決断した。 ●スタッフボイス:大溝敏夫監督 「リアハブのトラブル、トルクピンが折れてしまいました。それまでトップを快走していただけに、悔しさも、言葉に表せないくらいです。今回は、走り始めから、好い流れで来ていました。予選では、スーパーラップには残れませんでしたが、そこで好いセットを見つけて決勝に臨むことが出来ました。そして悪コンディションの中、シンメトリカルAWDのアドバンテージを活かしてポジションアップし、ドライバーの頑張りでトップに立つこともできました。ここまでは(ドライバーやマシン、チームの)実力でトップに立ったと言えるでしょう。でも、そのトップで走りきれなかったところが、(チームの)実力不足なんでしょうね。応援してくれたファンのみなさんの、期待を裏切る格好で申し訳ありませんでした。でも、マシンのポテンシャルを確認できたし、トップを走ることもできました。これからは、マシンのポテンシャルを一層引き上げるとともに、チームを鍛えていき、実力で優勝できるよう頑張っていきます。これからも応援してください。」●ドライバーズボイス:山野哲也選手 「結果はともかく、今日のレースで“見えた”部分がありました。スタートするまでは、正直言って『雨でも(インプレッサは)ダメかもしれない』と弱気になる部分もあったんですが、3~4ラップも走る内に自信に変わりました。こんなコンディションでしたがクルマはしっかり止まり、よく回り、安心して攻めることが出来ました。これからは、ドライコンディションでも、こんな感覚で攻められるようなマシンに仕上げていきたいですね。」●ドライバーズボイス:青木孝行選手 「今日は『勝てたかもしれない…』じゃなく『勝てたレース』。それを落としてしまったのは、大きな反省材料ですね。でも、この悔しさをバネに、もっと強くなりたいですね。」 |
朝のフリー走行では期待通りの好タイムで期待が高まる グリッドへの試走を待つ間に、とうとう雨が降り始める 雨の中、グリッドで笑顔を振りまくサーキットレディ 初めてのレインコンディションに、山野選手も緊張気味 コース上は土砂降りの区間と小雨の区間があり、走行中に目まぐるしくコンディションが変わる
|
|Rd.5決勝 Round 5 SUPER GT 300KM RACE| |