モータースポーツ情報

スーパーGTレースレポート

2008スーパーGT 第4戦
SUPER GT INTERNATINAL SERIES MALAYSIA
(セパンインターナショナルサーキット 5.542km)
●練習走行&公式予選

6月21日 公式予選
QF1=11:00~12:00 
天候=曇り/ドライ
気温=131→31℃ 路面温度=41→42→41→42℃

QF2=16:00~17:35
曇り時々晴れ/ドライ
気温=32→30℃ 路面温度=40→44→37℃
●マシンの進化、改良が奏功し、予選1回目をトップで終え、
    スーパーラップでは他を圧倒し、初のポールポジションをゲット

 
好結果を逃した富士ラウンドから1ヶ月半。シリーズは中盤第4戦のセパン・ラウンドを迎えることになった。レース距離自体は300kmで、灼熱の太陽の下、高温に晒されるレースとなるのが通例で、タフなことではシリーズで屈指。ただし、こうしたタフなレースでこそ、その威力をいかんなく発揮するのがトランスアクスル付きシンメトリカルAWDの大きな武器でもある。去年、セパンでは5位入賞。しかもレース中のファステストラップを叩き出すなど、チームやインプレッサと、サーキットの相性は悪くない。これは好成績が期待出来そうだ…。

マシンに乗り込んだ佐々木選手と、最後の打合せをする山野選手と松田マネージングディレクター
前戦、富士ラウンド終了後、マシンを修復するだけでなく、よりポテンシャルを高める改良に、チームとして全勢力を注ぎ込んだ。昨シーズンの終盤から、特にマシンのリアセクションに関しては剛性アップと軽量化、そして空力の追求が徹底されていた。もちろんフロントセクションに対しても手を加える用意はあったのだが、シーズン開幕までには時間不足となり、結局、フロントセクションの進化が間に合わないままのシーズン開幕となっていた。その後はレースに追われ、富士でマシンが壊れたのを好い機会に(!?)、オフに手がつけ切れていなかったフロント部分の改良と、カウルワーク(外装パネル)のカーボン再成形が敢行された。セパンに向けての船積みまでの約3週間。チームスタッフは徹夜も厭わず作業を続行。その努力の結果、驚くべき速さ(完成までの行程時間)で実現されることになった。

スーパーラップに向けデータをチェックする松田マネージングディレクター
いよいよ、セパン戦。木曜にレンタカーを使って、コースの下見が許されたものの、レーシングマシンによる走行は、いつものように金曜から。この走り始めのセッションから、驚くべき速さを見せつけることになった。午前中の走行では佐々木選手が一人でステアリングを握ることになったが、その走り始めのセッションでいきなり、2番手にコンマ6秒以上の大差をつける韋駄天ぶりを発揮したのだ。午後には山野選手も加わり、さらにセットアップが進められた。このセッションでは僅差の3番手に留まったが、勢いは明らかだった。

明けて土曜の公式予選。午前中に行われた1回目のセッションでは、ここ数戦と同様、佐々木選手が専有時間にフレッシュタイヤでアタックし、GT500との混走時間帯に山野選手が、佐々木選手がアタックに使ったユーズドタイヤのまま、基準タイムをクリアする。つまり1セットのフレッシュタイヤで1回目のセッションを戦い、2セット目のフレッシュタイヤはスーパーラップに温存するというもの。しかも、アタックで好タイムをマークするためには、コースに、少しでも多くのラバーが乗る必要があり、専有走行時間帯の最後の最後でアタックするのが最も有効で、タイヤを温める時間を考えてもセッション開始から10分ほど経過したタイミングでピットアウトするのがベスト。これが予選の鉄則だ。
佐々木選手は、開始前からコクピットに乗り込んでいたが、セッションが始まってしばらくはピットで待機。以前だったら「何かトラブルでも?」と心配になったものだが、ピットはドタバタ感とは無縁で、泰然と潮を待つ雰囲気が伝わってくる。セッション開始から8分ほど経ったところで牧野チーフエンジニアからゴーサインが出されると、いよいよ戦闘開始。コースインラップ、タイヤを温めた2ラップ目を終えると、いよいよ全開アタック。ピットでスタッフが見守る中、佐々木選手はアグレッシブにコースを攻め、2分06秒930のトップタイムをマークした。
この時点で2位に1.4秒近い大差をつけ、進化し続けるインプレッサの速さを見せつけた。次の周にはクールダウンに入りピットに戻ってくる。これを迎え入れるチームスタッフは、特に浮かれた表情を見せるでもなく、淡々と作業を開始する。彼らはもう、次のステージ…混走時間帯で山野選手は当然、通過基準タイムをクリアするであろうことさえ見越していて、午後のスーパーラップに備えて動き始めているかのようにも映るほどだった。その混走時間帯には山野選手がタイム計測のためにコースイン。コースインラップでタイヤを充分に温めると2周目にペースアップして行く。3周目にはクールダウンしてピットに戻ってくるが、これは佐々木選手よりもさらに効率的なパターン。しかもユーズドタイヤだったが、2分07秒560をマークしている。これは2番手の予選タイムをコンマ8秒近く引き離す好タイム。まさに完璧に予選を席巻したのだ。

インターバルの間も、チームスタッフは精力的に作業を続けた。そして午後、先ずは15分間の走行セッションでセットを確認すると、注目のスーパーラップとなる。午前中にトップタイムをマークしていた佐々木選手は、10番手=ラストアタッカーとして登場した。丁寧にフレッシュタイヤを温めて、いよいよ勝負所のアタックが始まった。セパンサーキットはスタート/フィニッシュラインから、鈴鹿のデグナーにも似た右→右と回り込む第7コーナー手前までの前半部分と、そこからスタート/フィニッシュラインまでの後半部分、の2セクターに分けてセクタータイムが計測されているが、セクター1で佐々木選手は、それまでのセクターベストをコンマ4秒更新。後半部分でも彼の速さが衰えることはなく、2分07秒153でフィニッシュラインを横切った。午前中にマークした自己ベストには届かなかったが、それでも2番手に1秒以上の大差をつける、文字通りのスーパーラップだった。
コクピットで集中力を高める佐々木選手 激G=テレビ東京の取材を受ける山野選手

●スタッフボイス:松田久マネージングディレクター

「AWDはそもそも、低μ路でアドバンテージを持っているのですが(路面の)μが上がってくると、そのメリットがメリットとして効かなくなるんです。だから、コースに合わせ込んでサスペンションやLSDをセットする必要があるんです。それにタイヤも。ダンロップさんは去年もここで速かったんですが、今回も中速コーナーが多い、このコースに合ったタイヤを用意してくれて、(ポールを奪うことが出来た要因としては)それも大きかったですね。本当は、富士で勝っておきたかったけど、それが出来なかったんで、今回は、チーム全員が『勝ちたい!』ではなく『勝つんだ!』とモチベーションも上がっていました。そんな皆の想いも、クルマを後押ししてくれたんじゃないですかね。ロングラップのセットも良いものが見つかっているので、決勝では是非とも優勝したいですね」

●ドライバーズボイス:山野哲也選手

「スーパーラップは(佐々木選手)がバシッと行ってくれたので、安心して見てられました。ボクにとってセパンは凄くゲンが良く、昨年は5位と逃しましたけど、それ以外すべてのレースで表彰台に上がってます。マシンは、シーズン前にリアセクションの剛性を上げ、このレース前にはフロントの軽量化やダウンフォース増加もやって来ました。ダンロップもセパンと相性が良く、これが効いていますね。チームとして“セパンで勝つ”と思って、来ましたので、今日もその思いが出たのだと思います」

●ドライバーズボイス:佐々木孝太選手

「予選1回目でも良いタイムが出て、スーパーラップでもある程度自信はありました。でも、ここに来られたのはチームの努力やダンロップタイヤの力だと思います。その力添えに結果としてお返ししたいと思っていたので、ポールが獲れて本当に良かったと思います。今回は金曜日から、非常に良い流れで来ています。ボクは今回、別のレースとダブルエントリーで(GTに参戦している)他のドライバーより多くセパンを走れているので、コースの状況が良く分かっているのもプラスになってます。その分疲れましたけどね(笑)」



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