
201年FIAアジア-パシフィック・ラリー選手権(APRC)最終戦「チャイナラリー龍遊」が11月5-7日、浙江省衢州市の龍遊を拠点に開催された。CUSCO RACINGからは、柳澤宏至選手、炭山裕矢選手が三菱ランサーエボリューションXでエントリーした他、番場彬選手が、スズキ・スイフトスポーツで選手権外のスポット参戦。クスコレーシングは、今季の最終戦を3台体制で挑んだ。
竹林を抜ける狭くツイスティなグラベル路というのが、例年見られるチャイナラリーの特色だったが、今年はFIA地域選手権の規定変更を受けて、グラベル×舗装のミックス路面で設定。全ステージ距離の約30%が舗装となった。しかし、一つのセクション内で路面が単一になることはなく、オール舗装のステージも2回使用する1本のみ。さらに走行エリアの舗装はコンクリート質に薄く砂利が覆うため、ドライでもスリッパリーという厄介なコンディションだ。しかし、例年ウェットがお決まりのチャイナも今年に限っては会期中、好天に恵まれ、初めてのドライでのチャイナに困惑するドライバーも多かった。
今季のAPRCは第5戦に予定されていたインドネシアが、異常豪雨による路面悪化でイベントキャンセル。参戦を予定していたクスコレーシングも、コンテナを開けることなくこのチャイナに転送となった。柳澤選手、炭山選手がこのチャイナで狙いの主軸に置くのは、アジアカップタイトル。しかし、インドネシアのキャンセルにより、APRC本選手権でもタイトル争いがこの最終戦に持ち越されたため、全ドライバーがそれぞれのタイトル目指しての全開アタックは確実という、張り詰めた雰囲気でチャイナ戦を迎えることとなった。スポット参戦の番場選手は、同じN2クラスとのタイム比較に注目。さらに併催の中国選手権には、チームズ選手権の助っ人ドライバーとして、欧州から強豪選手がこぞって参戦し、すわ世界選手権かというような緊張感の中、スタートを迎えた。
11月5日、中国らしく華やかなセレモニアルスタートの後、開幕ステージとなるスーパーSSを走行。ここで炭山選手は得意のダートラ場ステージで3番手タイムと、好スタートを決める。柳澤選手も0.8秒差の6位。番場選手はN2クラスどころかN4クラスに割って入る全44台中33番手タイムを叩き出し、周囲の注目を一挙に集めた。
本格的な競技スタートとなった6日は、いきなり波乱の展開を迎える。この日最初のSSで、選手権リーダーの田口勝彦がコースオフ。クルー救済のために各車がストップ、救急車がステージに入ったため、ステージキャンセルが伝えられた。一方クスコレーシング勢は順調に走行を続け、SS3では柳澤選手がベストタイムをマーク。炭山選手も安定してトップ4圏内のタイムを維持した。SS6になると選手権上位のドライバー2名が立て続けにリタイアする波乱。何とこれで、リタイアした田口選手にAPRCタイトルが確定してしまった。こうなると残るバトルは、プロトン勢とのアジアカップ争い。そのプロトン勢はトップタイムを連発する一方でパンクでのタイムロスが響き、総合順位では後退。炭山選手もSS8でトップタイムをマークしたが、その後ターボにトラブルを抱えながらサービスに帰還することになった。トラブルフルーで走り切った柳澤選手は、この日の最終SSをベストタイムでまとめて、APRC首位で初日を終えた。5.8秒差の2位で続く炭山の走りには、チームメカニックが炭山車のタービンを20分で交換する絶妙なサービスワークで応えた。
そしてタイトルを懸けて迎えたデイ2。しかし、この日最初のSSで序盤、柳澤選手がハンドブレーキをかけてヘアピンターンをした際にリアのドライブシャフトを破損してしまう。アジアカップタイトルを目前にしての、痛恨のリタイア。柳澤選手の思いを引き継ぎ、替わって首位に立ったのは炭山選手だった。執拗なプロトン勢の追い上げをかわし、29.7秒の差をつけて堂々のAPRC勢トップフィニッシュ。さらにアジアカップタイトルも手中に収めた。クスコレーシングはこれで、2008年にディーン・ヘリッジ選手が獲得したパシフィックカップに続き、二度目のカップタイトル獲得を果たした。
一方、スイフトスポーツの番場選手は、日本国内では経験したことがないような、変化の激しいチャイナの路面に初めての難しさを感じながらも、安定してタイムをマーク。国内戦N4勢にも負けない走りを見せる鮮やかなイエローカラーのマシンの疾走は、観客を大いに盛り上げた。エントリーの半数近くがリタイアという荒れたコンディションの中、番場選手もSS13ではドライブシャフトを破損するトラブルにも見舞われたが、車載のパーツを自力で交換し続行。最終的に堂々14位でフィニッシュし、初参戦のチャイナを会心のリザルトで走り切り、その存在をアピールした。
柳澤宏至選手
「舗装とのミックス路面でタイヤチョイスに悩みましたが、ロスもなく流れは順調でした。ようやくリズムに乗ってきたというところでのアクシデントだったので、悔しいですね。それでも炭山選手がタイトルを獲得してくれたので、チームとしてはいい結果を残すことができましたと思います」
炭山裕矢選手
「今までにないくらい、いい調子で走り切ることができました。事前に日本国内の舗装イベントに出てデータを集めるなど、イベント前の段階からいい準備ができたと思います。チャイナに入ってからのテストでも調整がうまく行きましたね。チームもLSDのセッティングを幅広く用意してくれて、それが自分にもうまく働いたように思います。ロングステージで離されたらマズいと思っていましたが、イメージ通りにきっちり走ることができました。チームのサポートと自分の走りがうまく噛み合っての好リザルトだと思います。自分にとっても、いい自信になりました。」
番場彬選手
「何とか無事に走り切ることができて、うれしいです。固い地盤や尖った根石など、日本とはだいぶ違う道に戸惑いました。ドライブシャフトを折らないように気をつけていたのですが、やはり一度は追ってしまいましたね。最終ゼッケンだったので、何度も先行車に追いついてしまい、その苦労もありましたが、N2クラスなので仕方がないですね。変化の激しい道なのでリズムがつかみにくい難しさはありましたが、マシンの動かし方という面でいい勉強になりました」
2010.11.08
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