モータースポーツ情報

クスコ・ワールドラリーレースレポート

2008 FIA Asia-Pacific Rally Championship Round 3
NAC Insurance Hella International Rally of Whangarei
6-8 June 2008


ディーン・ヘリッジが、初代FIAパシフィックカップチャンピオン獲得!

FIAアジア-パシフィック・ラリー選手権第3戦「ラリー・オブ・ワンガレイ」は6月6-8日、ニュージーランドの北島、オークランドから200kmほど北上したワンガレイ周辺で開催された。


ニュージーランドは、世界ラリー選手権(WRC)で活躍するトップドライバーにも人気のある「ドライバーズステージ」。路面のサイドが落ち込んで馬の背状態になった、キャンバーロードという特色があり、この落ち込みを左右に乗り換えながらリズミカルにコーナーをクリアしていくことが、ニュージーランドのステージ攻略の鍵となる。このワンガレイ戦にも、かつてWRCで使用された名ステージが盛り込まれ、中にはマーカス・グロンホルムが転倒したことで有名なクレストが絡む橋などもあり、まさに国際ラリーの舞台としての風格漂う雰囲気だ。

どこまでも広がる牧草地帯を駆け抜けるNZのコース。起伏もかなり激しい
 
テンポよくリズムに乗ってコーナーをクリアするのが、NZの醍醐味!
 
ニュージーランドの原住民、マオリ族伝統の「ハカ」は、戦いの前の踊りで、強さを誇示して相手を威嚇する

3台体制のCUSCO RACING陣営。炭山にもNo.10が与えられ、サービス内も活力がみなぎる
CUSCO RACINGからは、柳澤宏至、このイベントでFIAパシフィックカップのタイトル獲得が掛かるディーン・ヘリッジの他、国際ラリー初参戦となる炭山裕矢がエントリー。CUSCO RACINGのワールドラリーチーム始まって以来となる3台体制で、タイトル獲りに挑むこととなった。固い地盤にグラベルが乗るステージでは、スタート順が早いほど、砂利掃きの役目を負うこととなる。今回のスタート順は、柳澤・3番手、ヘリッジ・5番手と、グラベルの影響は必至。また海外ラリー初参戦の炭山も、いきなり10番手と高い評価を受けた。

グロンホルムも転倒した由緒ある(?)ヘラブリッジをクリアする柳澤
レグ1の天候は快晴。しかし、路面にはウェットが残るほか、南半球のニュージーランドは、この時期冬に辺り、気候が不安定でもあるため、日中はにわか雨が降る心配も残る。この日の設定は4本のステージを、サービスを挟んで2回ずつ走行。柳澤は複雑なコンディションにセッティングが今ひとつ合わず、フィーリングがつかめずに苦戦。さらに、路面を覆うスリッパリーなグラベルにも悩まされる。

メカニックがペナルティなしで交換したギアボックスを積んで気合い新たに飛び出したヘリッジ。SS5を攻める
また、ヘリッジもSS2でギアボックスにトラブルが発生。チームのマシンには、CUSCO製ドグボックスを搭載している。改造範囲の狭いグループN車両ではマシンに変更を施すことができる範囲が厳しく限定されているため、ドグボックスも変更の許されない純正パーツを部分的に活用するのだが、この純正部分が破損してしまい、5速が抜けてしまう状態となった。ヘリッジは、このトラブルを抱えたまま、第1セクション残り2本のステージを走行しなくてはならず、思うようにタイムアップができない。しかし、パシフィックカップタイトルが掛かるヘリッジのアクシデントに、CUSCO RACINGのメカニックがその手腕で応えた。
20分のサービスの間に、見事ギアボックス交換を終了。しかも、ルーティンの作業もこなした上で、ペナルティなし(タイムオーバーすると、1分遅延につき10秒のペナルティ)で、マシンを午後のセクションに送り出した。ヘリッジは、この後APRC4位まで順位を上げてデイ1を終了。柳澤もヘリッジに続くAPRC5位につけた。また、海外初参戦の炭山は、第1ループでは慎重に様子を見ながら、第2ループから徐々にペースアップ。総合17位で初日を終えた。


デイ2、ヘリッジが目指すのは、もちろんパシフィックカップ獲得。初戦、第2戦を共に2位でフィニッシュしているヘリッジにとって、今の4位をキープすれば、タイトルを獲得する。上位3名の差はかなり開いているため、確実にポジションキープを狙っていく。柳澤は、フィーリングの合わなかった前日からマシンセッティングを大幅に変更。気持ちをリフレッシュして、デイ2に挑む。これでフィーリングをつかんだ柳澤。4位につけるヘリッジとの差を詰めることを目標に挑んだが、依然としてタイムアップにはつながらず、フラストレーションがたまる。APRC参戦3年目、新たな課題を目の当たりにしながらも、確実にステージをクリアして5位でフィニッシュを果たした。そしてヘリッジも、的確にコントロールされたドライビングでポジション維持を完遂、見事初代FIAパシフィックカップのタイトルを獲得した。
 

初代FIAパシフィックカップのポディウム。堅実な攻めでヘリッジが見事チャンピオン!

ヘリッジのコドラ、マーフィー。コンビ初年でタイトル獲得、お見事!

SS13の炭山。難しいNZのステージで多くの経験を積んだ

一方の炭山は、様々な要素が複雑に入り組む難しいニュージーランドのステージでも、ペースをつかんで走行。貴重な経験を積みながらフィニッシュを目指したが、最終SSの8km地点で、クレストにつかまりコースアウト。惜しくもリタイアとなったが、初めて挑む海外ラリーで多くの知識を吸収、実りの多い内容となった。
初代FIAパシフィックカップチャンピオン、ディーン・ヘリッジ
「本当にうれしいよ。チームのみんなも喜んでくれていると思う。チームに加入した時から、僕の使命はこのタイトルを獲得することだったから、2位、2位、4位と着実にそれを遂行して、目標を達成できたので大満足。チームは本当にがんばってくれたし、ギアボックスのトラブルも、ペナルティなしでの交換で対応してくれた。最高にうれしいよ!」
柳澤宏至
「今回は、かなり上位に離され、課題が残る結果となりました。初日はセッティングが合わず、2日目は大幅に変更を行ってフィーリングは上がりプッシュはしましたが、タイムは詰まらず。具体的な問題があるわけでもミスをしたわけでもないので、総合的に考えなくてはならない問題があるのかもしれません。ただ、チームメイトができたことでデータが倍増したので、これを次に活かすことができます。次戦の北海道は、慣れたコースでデータも充分にあるので、心おきなく攻めていきます」
炭山裕矢
「昨年のラリー・ジャパン以来、半年ぶりのラリー参戦となり、チーム体制も新しくなったので、1日目の第1ループは慎重に行きました。2周目からはペースをつかみましたが、なぜかタイムが上がらない。ペースノートの作り込みなど、いろいろな課題が見えてきました。海外ラリーのことは、話ではたくさん聞いていたので身構えはしていましたが、実際に体験するのでは大違い。いろいろ吸収できましたし、今回得た課題を着実に消化していきたい。北海道からは、アジアカップが掛かるので、各戦、キッチリと取っていこうと思います」



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