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クスコ・ワールドラリーレースレポート

APRC王者との熾烈なバトル!遜色のない速さを見せたヤナギが今季3度目の2位フィニッシュ!
 
2008年FIAアジア-パシフィック・ラリー選手権(APRC)最終戦となる第7戦「チャイナ・ラリー・龍遊は11月7-9日、上海から400kmほどの龍遊周辺で開催された。

APRCの中国戦が龍遊で開催されるのは、今年で3回目。CUSCO RACINGのエース・柳澤宏至選手にとっては、FIAアジアカップ初代チャンピオンの座がかかる、大事な一戦だ。しかもガチンコ勝負の相手は、APRC3連覇を決めている超強豪のコディ・クロッカー選手。熾烈なバトルが予想される。一方、今季はAPRCのアジアイベント初参戦に挑んでいるチームメイトの炭山裕矢選手にとっては、この龍遊も未知のイベント。今季まだ完走を果たしていない炭山選手にとっては、絶対完走のオーダーを完遂し、経験を積むことが目標だ。

龍遊の道は、とにかくツイスティ。平均速度は50km/h台と、マシンにもかなりストレスがかかりそうだ。炭山選手も「こんなにステアリングを回したのは、久しぶり」と苦笑。しかも、炭山選手はレッキに使った車が、2WDのレンタカーだったため、雨で湿った路面にとられてスタックの連続。まともなペースノートが作れないと、思いがけない苦境に立たされた。今回のイベントは、どのステージも3回走行する設定のため、炭山選手は、1回目はノートの確認を兼ねて様子を見ながら2ループ目から徐々にペースアップ、ただし完走目指して抑えるところはキッチリ抑える、という計画を立てた。一方の柳澤選手にとっては、アジアカップタイトルを巡って後も先もない最終バトル。スタートから全開アタックで挑むだけだ。

イベントは、7日金曜日にセレモニアルスタートを行った後、1.8kmのスーパーSSを1本走行。ここでは、柳澤選手がステージウィンとさい先のいいスタートを切った。炭山選手も6番手と、まずまずの滑り出しだ。そして翌土曜日から、本格的な競技スタートを迎えた。SS2の7kmステージでも、柳澤選手はクロッカー選手に1.6秒差でベストタイムをマーク。王者クロッカー選手にプレッシャーをかけていく。そのクロッカー選手は、ミッショントラブルを抱えた様子。それでも、トップタイムを叩き出す安定感はさすがだ。結局デイ1は、柳澤選手が10本中4本、クロッカー選手が3本のステージウィンを獲得(1本はキャンセル)。柳澤選手は、クロッカー選手に1分20秒以上の差をつけて、初日を首位で折り返し。この日の最終サービスでは、可能な限り全てのパーツ交換を行い、クロッカー選手と真っ向勝負の体制を整える。一方の炭山選手は、これまで経験したことのないような中国のステージに翻弄された。狭く、高低差が激しく、信じられないほどのツイスティな道。それでも着実に各ステージをクリアし、初日を4位で折り返した。

そして運命のデイ2。柳澤選手とクロッカー選手の、熾烈なバトルが始まった。この日は2本のステージを3回ループする設定。初日を首位で終えたことで走行順が1番となった柳澤選手は、この日1回目のループでは砂利掃き役となった。この午前中2回のループで、クロッカーが各15-20秒近くも詰めてくる猛追を見せてきた。しかも柳澤選手は、SS13で岩にヒットしてロワアームを破損、そのまま走行したSS14ではタイロッドを曲げて、クロッカー選手との差が一気に縮まった。そしてサービスを挟んで迎えた、最後のループ・2本のステージ。1本目のSS15は、クロッカー選手にステージウィンは奪われたものの、わずか0.7秒差で食い下がる柳澤選手。しかし、APRC初優勝・アジアカップタイトル目前と、僅差で迫るクロッカー選手というこの上もない巨大なプレッシャーがのしかかった柳澤選手は、最終SSで痛恨のヒット。さらに溝にはまったまま300mを走行して24秒のタイムロスを喫し、これで万事休す。わずか1.7秒差でクロッカーに全ての栄冠を譲ることとなってしまった。それでも2位は堅守してラリーをフィニッシュ。今季ポディウムフィニッシュ4回、うち3回が2位と、安定してトップリザルトをマークしてきた柳澤選手は、シリーズでも3位につけた上、強豪勢に遜色のない速さを発揮し大きなプレッシャーを与える存在になるまで成長を見せたという点で、実りの多いシーズンとなった。一方の炭山選手は、この日のステージでコンスタントにトップ8タイムをマーク。周囲にトラブルが続出する中、安定した走行を続け、総合6位でフィニッシュ、今季初めての完走を果たした。初めて海外シリーズに参戦、日本国内とは全く異なるフィールドに衝撃を受けながらも、多くの経験を積んだ炭山選手にとっても、また意義深い1年となったようだ。
柳澤宏至選手
「今回も悔しい結果にはなりましたが、コディは速かった。僕は、トラブルもあったけれど、後ろから迫ってこられ、気持ちの焦りもあった。それが全てを決めてしまいました。でも、速さという点では、1日目はコディとのタイム差はなかったし、2日目も全開ペースのコディと競い合うことができた。いいタイムの出し方も分かってきました。あれくらいやらないとダメなんだな、というレベルが見えてきたんです。そしてそこまで攻めても、なおトラブルを起こさないところが、コディのすごいところなんだな、ということもよく分かりました。結果は残念だったけれど、得られたものも大きいラリーでした。今年は、マシンもチームも、ドライバーも熟成した。だから、お楽しみは来年に取っておきます(笑)」
炭山裕矢選手
「およそ1年ぶりに完走です。率直に、ラリーって難しいなぁと改めて実感しました。全日本に5-6年参戦してそこそこ走れるようになり、そして今年海外に挑戦したわけですが、国内との差は大きい。また全日本の初年にもどったような気分です。今回の中国でも、狭さといい高低差といい、経験したことのない幅広さ。でも、これも走ってみないことには分からないので、経験したことにより、それを今後につなげることができます。それぞれの国のコンディションがあまりに違うので、驚いてばかりで苦しい一年でしたが、これも徐々に楽しめるようになっていければいい。焦っても仕方のないことなので、この経験をどのようにつなげていくかが、今後の課題です」
柳澤宏至選手
「今回も悔しい結果にはなりましたが、コディは速かった。僕は、トラブルもあったけれど、後ろから迫ってこられ、気持ちの焦りもあった。それが全てを決めてしまいました。でも、速さという点では、1日目はコディとのタイム差はなかったし、2日目も全開ペースのコディと競い合うことができた。いいタイムの出し方も分かってきました。あれくらいやらないとダメなんだな、というレベルが見えてきたんです。そしてそこまで攻めても、なおトラブルを起こさないところが、コディのすごいところなんだな、ということもよく分かりました。結果は残念だったけれど、得られたものも大きいラリーでした。今年は、マシンもチームも、ドライバーも熟成した。だから、お楽しみは来年に取っておきます(笑)」
炭山裕矢選手
「およそ1年ぶりに完走です。率直に、ラリーって難しいなぁと改めて実感しました。全日本に5-6年参戦してそこそこ走れるようになり、そして今年海外に挑戦したわけですが、国内との差は大きい。また全日本の初年にもどったような気分です。今回の中国でも、狭さといい高低差といい、経験したことのない幅広さ。でも、これも走ってみないことには分からないので、経験したことにより、それを今後につなげることができます。それぞれの国のコンディションがあまりに違うので、驚いてばかりで苦しい一年でしたが、これも徐々に楽しめるようになっていければいい。焦っても仕方のないことなので、この経験をどのようにつなげていくかが、今後の課題です」

セレモニアルスタート後のスーパーSS、裕矢は6番手とまずまずの滑り出し。 SS7のジャンピングスポットをクリアするヤナギ。
 
デイ1最終サービス。ヤナギ車はミッションまで交換、できる限りリフレッシュさせたマシンでコディとのバトルに備える。 悪天候の影響でタイヤハウスには泥がビッチリ。サービス作業にもさらにメニューが増える。
 
タイヤメーカーの担当者にフィードバック。実戦での貴重なコメントが明日の開発につながる。 裕矢も水しぶきをあげながら、SS4を激走する。
 
タイムのボードは手書き。SS9、カーNO.2のヤナギがステージベスト! 激しいバトルの真っ最中、SS13でヤナギはヒットでタイロッドを曲げてしまう。
毎年大勢の観客が集まるSS13のステージ。チャイナ初挑戦の裕矢が駆け抜ける。 SS13で曲がったタイロッド、必死で修復を試みるクルー。
 
悔しくも実りの多い結末。大きなプレッシャーの中を戦い抜いたエースを監督がねぎらう。 パシフィック戦を共に戦ったヘリッジは、中国選手権での優勝を獲得。お互いの健闘を讃え合う。



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